秋風が気持ちの良い季節となりました。感染の広がりも少し緩やかになってきたようですが、TERRAファンの皆さまは、いかがお過ごしでしょうか。

 

10月に入り、蒸し暑い真夏のように、キンキンに冷えた白ワインは気候に合わなくなり、かといって、マッタリした赤ワインにはまだ早い気が…。太陽がある日には、まだ夏を思わせる暑さもありますものね。

 

そんな時期におすすめしたいのが、今や静かなブームともなっている「オレンジ・ワイン」です。時々、オレンジで作るワイン? と勘違いされることもあるのですが、実は白ワインのバリエーションです。

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イタリア・フリウリ地方の生産者によるオレンジ・ワイン

 

なぜ白なのにオレンジと呼ばれるか、というと、「赤ワインの製法で作られる白ワイン」だからです。こう言うと、余計わからない…という声も上がるのですが、白と赤の製法の違いを知ると納得できるでしょう。違いは、収穫したブドウを破砕した後に現れます。

 

・白は果皮や種を取り除き、果汁だけを発酵させる。

・赤は果汁とともに、果皮や種なども発酵させる。つまりブドウ丸ごと入っている。

 

上の通り、白ワインは液体だけの発酵によりアルコール飲料になるのですが、オレンジ・ワインは、白ブドウの果汁に、果皮や種、果楩も一緒に漬け込んだまま発酵させるので、赤ワインと同じ過程を経るわけですが、色が濃く出ます。ただ白ワイン用のブドウを使っているので、赤ほど色は出ませんが、とは言え、果皮や種の成分が現れ、銅のような色が付きます。そんなことからイタリアでは、Vino arancione「オレンジ・ワイン」またはVino ambrato「琥珀ワイン」と呼ばれます。

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「ブランデーのよう」と表される色合い

オレンジ・ワインの味わいの特徴は、白ワインなのに「タンニン」が多分に出るところです。タンニンやポリフェノールと言えば、赤ワインの代名詞ですね。通常、果汁だけを発酵させる白ワインにはタンニンはありませんが、オレンジ・ワインは赤ワインと同じ製法ですから、その成分もしっかりワインに滲み出します。

 

白ワインのすっきりした爽快さ、飲みやすさと、赤ワインの渋みやコクが同居したワイン、それがオレンジ・ワインです。この秋の始まりの時期、常温で飲んでも十分に行ける白ワインなんて、本当にピッタリです。

 

また、もう一つの特徴として、酸味が少なく柔らかな味わいもあります。タンニンが豊富なことから、乳酸発酵が促され、酸味が弱まります。オレンジ・ワインは相対的にまろやかで、丸みのある味わいとなり、よく「ブランデーのよう」と表現されます。そうした味わいがアジア料理やエスニック料理といった、これまでワインと合わせるのが難しいとされてきた料理との相性の良さにもなります。

 

先日、私もエビチリにオレンジ・ワインを合わせてみました。唐辛子の辛味にはワインはうまく合わなかったのですが、オレンジ・ワインは紹興酒のニュアンスもあり、中華料理の味付けとぶつかることなく、美味しくいただけました。これは新発見です。韓国料理、タイ料理、ベトナム料理と、これからいろんな可能性を広げていけそうです。

 

さて、オレンジ・ワインと言えば、ジョージア(グルジア)が発祥と言われています。しかし近年、オレンジ・ワインを再興させたのは、実はイタリアの生産者なんですよ。

 

そんなお話はまた次回に。