いつもTERRAのレッスンをご利用頂き、誠にありがとうございます。

日々、熱心な方から様々な質問が寄せられますが、とりわけ語彙力アップのコツや、単語集のおすすめを聞かれる内容を多くいただいております。

そこで今回は、検定試験などにも活用でき、かつ現地生活で実践効果も高い単語集を厳選し、トップ5をご紹介したいと思います。

 

No.5. おすすめレベル: 初中級

『新装版 イタリア基本単語集』(白水社, 秋山余思著) 

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本書の帯に「基本語2200語」と銘打たれていますが、これは現地での会話を難なくこなせる語彙を科学的・統計的に分析して厳選した数。初心者向けのやさしい単語から、日常生活レベルで必要な語彙まで、使用頻度の高いものが的確に集められており、実践重視のラインナップと言えます。イタリア語学習の土台作りとして、格好の目安となる好著です。

 

本書の工夫の1つとして、単語リストに色分けがされています。最初に覚えるべき、使用頻度の高い語彙は「赤字」、それ以外は「黒字」になっています。「赤字」が全体の15~20%程度、つまり約200~250語あります。これは初心者が最初に身につけるべき語彙数です。まずは「赤字」を優先的に覚え、それを核として周辺の単語に広げるイメージで覚えると大変効果的だと思います。

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No.4. おすすめレベル: 初中級

『イタリア語検定 4・5級突破単語集』(三修社, 一ノ瀬監修, 京藤・ナンニーニ共著)

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こちらはダイレクトに「イタリア語検定」に照準を合わせた単語集。しかし、この検定試験は「実用」に重きが置かれているので、検定試験の勉強をしていれば、おのずと実践力も養われるわけです。本書では、頻出の約1300語が選ばれ、その他、関連語や図表に絡んで約500語が紹介され、合計約1800語が学べます。この数は、先のNo.5.『イタリア基本単語集』で示された2200語と同等の目安と言えます。イタリア語を始めた人が、日常会話をこなすレベルに到達するための「スタンダード」と呼べる単語集です。

本書の特徴として、すべての見出し語に例文が付けられていますが、これらは過去の検定試験の出題を元にアレンジされた例文となっています。まさに、検定対策に必携であることは言うまでもありません。さらに重要語には「関連語」、「同義語」など合わせて覚えておくべき語彙の指示があり、加えて「従える前置詞の使い方」など文法的なポイントも挿入されており、学習書としての効果が抜群に高い構成になっているのが他にない特長です。

「4・5級」なので、イタリア語の学習経験が1~2年程度(それ以上)の方を目安にして編まれています。しかし、検定対策の単語集ではありますが、普段使いの、実践力の土台づくりとしても、本書はおすすめです。

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No.3. おすすめレベル: 中上級

『Primo passo イタリア語はじめの一歩 ジャンル別単語集 Kindle版』(TERRAオリジナル教材, 京藤, 中原共著)

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No.5.やNo4.で紹介した単語集の語彙で土台を作った上で、さらなる飛躍を狙う方におすすめの単語集です。約2000語を目安に最初の基本語彙を身につけたら、関連するジャンルを深めるように、語彙を追加していくのが理想的です。やみくもに、あるいは偶然性に流されて単語を追いかけるのではなく、目的を持って整理しながら覚えると、効率よく覚えられます。例えば、「塩」という基本語彙を覚えたら、「調味料」というジャンルで他に「胡椒」や「酢」を覚えておくと、「塩」を思い出したときに、他の語彙も芋づる式に思い出せるという具合です。

 

本書では約1800語が取り上げられていますが、これはCEFR(ヨーロッパ言語参照枠)のA2-B1を基準とした語彙です。そのレベル設定は「学校や仕事先などの社会的な場で、個人や家族の話、業務や学習の確認、地理や歴史についての情報交換ができる」実力です。現地での社会生活を送る上で不可欠な語彙と言えるでしょう。

 

本書の工夫で目を見張るのは、なんと言ってもYouTubeに連動した音声教材が付いていることです。全ての単語をネイティブスピーカーが発音してくれているので、本で勉強したあとは、YouTubeを繰り返し見るだけで反復練習ができるという手軽さと便利さ。学習を「習慣化」するのにうってつけの教材です。さらにうれしいことに、Kindle価格480円という単語集では異例の安価でありますが、さらにKindle Unlimitedをご利用の方は「無料」でお使い頂けます。

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No.2. おすすめレベル: 中上級

『Le parole italiane』(ALMA社, Bertoni, Nocchi共著) *全てイタリア語版

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ここまで紹介した単語集は「リスト」形式で整理されたものです。リストをひたすら暗記するのは退屈でもありますし、長続きもしません。単語は本来、ある状況やフレーズの中で、適切に言い表す(書き表す)必要があるものです。本書はそんなリアルさを踏まえ、ジャンルごとに、そして場面設定を行って、そこに相応しい単語を入れるなどの練習が豊富にできる、言わば「単語集と練習問題集の総体」です。言い換えれば「アウトプット中心の単語集」。これは日本ではほとんど出版されない形式です。

イラストもかわいく工夫され、ヴィジュアル的に楽めて、飽きることがありません。

単に、単語を思い出して入れるだけでなく、文脈や会話の流れに沿って、適切な語彙を選ぶ、という出し方もしてくれるので、総合問題を解く力も養えます。さすが、現地イタリアの語学学校でも使用される、超実践的なテキストです。

注意としては、ご覧のように、問題はすべてイタリア語で書かれています。また、答えに対する丁寧な解説も特にありません。ご利用になる方は、自分でイタリア語の文章を読み解く力が必要であることを、あらかじめご承知おきください。逆に、本書を自力でやり抜く力があれば、かなりの実力だと自信を持って頂いていいでしょう。

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No.1. おすすめレベル: 上級

『Italiano per modo di dire』(ALMA社, Gianluca Aprile著) *全てイタリア語版

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実践的な語彙は、単語1つでまかなえるものではなく、複数の単語の組み合わせ、または長いフレーズの中で機能するものです。その中でも、複数の語が一体となって、独特の、その言語ならではの意味を放つものを「熟語(イディオム)」「成句」「慣用句」などと言いますが、イタリア語ではModo di dire(言い回し)と表現します。実際の会話では、このModo di direが縦横無尽に使われ、特にイタリア語はこれが多いと言われます。

 

例えば、下の写真ページにある”Mettere i puntini sugli i”は直訳すると「アルファベットiの上に点を打つ」となりますが、その意味は「念には念を入れる」ということです。

このように単語レベルではなく、複数の語の「総体レベル」で意味を捉えるには、まずはNo.5 ~ No.2.のような基本リストで3000~5000語を蓄えて、その上で取り組むべきものです。習慣的、伝統的なイタリア語の文脈で使われるModo di direは、そうした意味でも「上級」に進むための大切なボキャブラリーと言えます。本書もすべてがイタリア語で書かれていますので、イタリア語で読み解く力が必要とされることは言うまでもありません。

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まとめ

最後になりますが、語彙力アップはこのように総合的なものです。No.5.~No.3.で土台づくりをし、No.2.やNo.1でイタリア語ならではの語彙を上積みする。そうすることで、イタリア語の世界を自由に楽しむ素地ができるのではないかと思います。ぜひお役立てください。