只今TERRAでは、ヴェネツィア・カ・ペーザロ東洋美術館所蔵の美術品に関する情報を集めています。

どんな些細なことでも構いません。

お心当たりあれば、ぜひTERRAへメールをください!

(情報はこちらへ) info@terra-scuola.com

カ・ペーザロのHPはこちら。

 

[調査の内容]

カ・ペーザロ(Ca’ Pesaro)とは、ヴェネツィアの大運河に面するバロック様式の豪奢な邸宅であり、

現在は日本の美術品も多数収める国際的な美術館として利用されています。

その収蔵品のほとんどが19世紀にアジアを旅行したエンリコ・バルディ伯爵の個人コレクションであり、

特に伯爵は日本の美術品を愛し、熱心に収集され、

日本のものだけで3万点以上もの収蔵を誇るイタリア随一の東洋美術館となっています。

 

さて、今回私共が調査する美術品は『黒塗桐揚羽蝶紋紗綾形文蒔絵女乗物』というものです。

知りたいのは、この「女乗物(おんなのりもの)」の出所と経緯についてです。

江戸時代のおよそ17世紀後半から18世紀前半のものと推定されています。

ヴェネツィアで、長年本品の由来を調査されているのはキュレーターのボスコロ女史。

いまだ真相を探り当てることができず、今回調査の手を広げられ、私共も協力することになった次第です。

写真を通じて鑑定して頂いた江戸東京博物館の齋藤慎一先生によれば、

本品の由来を紐解く鍵は、全面に散りばめられた「桐揚羽蝶紋」にありそうだと言います。

(通常の桐揚羽蝶紋)

(本美術品にデザインされている桐揚羽蝶紋)

その特徴は、家紋としてのデザインならば通常「蝶の羽根」(写真上)を描くのですが、

本品ではその部分が金色に塗り潰されており(写真下)、「桐紋」のようにも見える点です。

 

さらに齋藤先生は次の点も、明らかにされています。

(1)この「女乗物」は、内装の様子から見て婚礼用のものである。

(2)このような豪奢な外装、内装を設ることができるとなると、大名クラスか、それなりの身分であろう。

(3)婚礼用品であれば、他の調度品一式も存在し、本品とのデザインの統一も見られるはず。

(婚礼調度品の例)

 

そこで今回、私たちはその(3)に着目し、

・他の婚礼調度品が、どこかに眠っていないか。

・特徴である「桐揚羽蝶」の文様で、羽の部分が塗り潰された意匠の、他の美術品がないか。

 

上記の情報を集めています。

もし「桐揚羽蝶」の家紋または文様でお気づきのことがありましたら、

些細なことでも構いませんので、ぜひお知らせください。

 

すでに私共は、日本国内のかなりの博物館や歴史資料館に問い合わせを実施してきましたが、該当するものはまだ見つけ出せておりません。

そのような手応えから、おそらく公的な機関の収蔵品からは、手がかりを見出せないのではないかと感じております。

つきまして、今回このように調査を公開し、個々の私的な所蔵品から何か手がかりは出ないか、お聞きすることに致しました。

本品は日本とイタリアの歴史ある交流において、その親密さ、信頼の厚さを裏づける大変貴重な物証となり得るものです。

唐突なお願いで恐縮ではありますが、お心当たりあれば、どんな些細なことでも構いませんのでぜひTERRAへご連絡ください。

 (情報はこちらへ) info@terra-scuola.com