私の最新の翻訳出版企画について、お知らせです。
数年前から翻訳したいと思っていた本が、このたび「サウザンブックス社」という出版社のクラウド・ファンディングを活用した出版企画に採用していただくことになりました。
只今、原作の権利を持つフランスの出版社との交渉が進められています!
順調に行けば、今年の夏(8月頃)にクラウドでの支援募集が始まるかと思います。そのときは、改めてお知らせしますので、ぜひ応援してください。
さて、この翻訳出版企画に採用された本はこちら。
タイトルは、イタリア語で”Gli ignoranti”(原作のフランス語では”Les ignornants”)、訳すると『無知な者たち』。この題だけを聞くと、なんの話だろう、と思うかもしれませんが、テーマは「ワイン造り」です。
フランス人の漫画家が、有名なワイン栽培家に密着取材し、ブドウ栽培とワイン造りの1年を描くドキュメンタリーです。「漫画でドキュメンタリー…?」と戸惑う方もいるかもしません。が、フランスでは漫画は「9番目の芸術」と認識されていて、社会性、芸術性の高いテーマを漫画で表現する文化が根付いています。娯楽性を追求せず、硬派なテーマを扱う漫画は「バンド・デシネ(Bande dessinee)」(一般にBDという略称)と呼ばれ、一つのジャンルを確立しています。そうした影響がイタリアにも及んでいますよ。
さて、その内容、あらすじや見所は、今後少しずつこのブログでも紹介していこうと思いますが、はじめに強調しておきたいのは、この本の核となるのが「ビオディナミ農法」だということです。これは自然との共存を図ろうとする栽培方法で、化学肥料も除草剤も一切使わず、瓶詰めの際に必要な保存料も極力減らすといった徹底ぶりです。しかしその現場は、まさに自然との格闘の場。労働の過酷さと、それに負けない造り手の工夫の数々、つまりは「自然志向ワインの現実」を作者は余す所なく描写してくれます。漫画で、このようなワイン造りの舞台裏を見せてくれるものは、日本にはないでしょう。私はこうしたワインの生産に関わる人々の真の息づかいを、日本にも広めたいと思い、この本を訳してみたいと思っていました。その実現に一歩近づき、ワクワクしています。健康を害さず、本当に体にやさしいワインを求めている方には、必見の好著と言えます。
これからシリーズで、この本が日本で翻訳出版されるまでを、このブログでお伝えしていきたいと思います。ぜひ今後の展開にご期待ください。
サウザンブックス社の公式HPはこちらから。