文法のお話を交えながら、こちらのしおりに書かれていることを解読していきます。

今回は、7番目のフレーズ ”Perché i libri si regalano solo a quelli in cui si ha fiducia” [ペるケ イ リーブり スィ れガーラノ ソーロ ア クゥエッリ イン クゥイ スィ ア フィドゥーチャ]を見ていきたいと思います。

 

◆Perchéは「なぜならば」という意味です。

 

◆次の部分(i libri si regalano)に移る前に、「態」についてお話したいと思います。

動詞の表す行為を、行う側から見るか、受ける側から見るかによってなされる区別を「態」といい、

動詞の表す行為を、行う側から見る態を「能動態」、

動詞の表す行為を、受ける側から見る態を「受動態」といいます。

たとえば、

マルコはロレンツォをたたく・・・[A]

ロレンツォはマルコにたたかれる・・・[B]

上の2つの文において、

[A]では、動詞の表す行為を行うものが主語になっており、このような文を能動態といいます。

動詞:「たたく」

主語:「たたく」という行為を行う人=たたく人(マルコ)

一方、[B]では、動詞の表す行為を受けるものが主語となっており、このような文を受動態(受け身)といいます。

動詞:「たたく」

主語:「たたく」をいう行為を受ける人=たたかれる人(ロレンツォ)

 

イタリア語には、受動態を作る方法がいくつかありますが、そのうちのひとつが、”si regalano i libri” や、文の最後の”si ha fiducia” のように、動詞の前に ”si”を置く方法です。(”si” には様々な用法がありますが、受動態を作るために用いられる ”si” を「受け身のsi」といいます。)

この ”si” は、例外はありますが、通常、動作主を表す言葉と共に用いることはできません。つまり、「態」のご紹介で出てきた日本語の例文「ロレンツォはマルコにたたかれる」は、動作主(=マルコ)が明示されているため、「受け身のsi」を使って表現することはできません。

 

受動態では、能動態の中で直接目的語として機能する語句が主語になりますので、動詞は「~されるもの」に応じて活用されます。

“i libri si regalano” の主語は ”i libri”なので、動詞 ”regalare” は、三人称複数形になっており、

「本は贈られる」という意味になります。

 

◆soloは「~だけに」という意味の副詞です。

 

◆a quelli in cui si ha fiducia

fiduciaは「信頼」という意味の名詞です。

“avere fiducia in 誰々”で、「誰々を信頼する」という意味になります。

 

“si ha fiducia”の”si” も「受け身のsi」で、主語は”fiducia”です。そのため動詞avereは、三人称単数形になっており、「信頼は持たれる」という意味になります。

 

(in) cuiは関係代名詞で、si ha fiduciaはquelliを修飾しています。

quelliは、関係代名詞以降の文の中にあるとき、”si ha fiducia in quelli” のように、前置詞を伴いますので、関係代名詞はcuiを使い、その前に本来付いているはずの前置詞が置かれます。

 

それでは、文全体の意味を見てみましょう。

”Perché i libri si regalano solo a quelli in cui si ha fiducia”

「なぜならば、本は信頼されている人々にのみ贈られるからだ。」

 

次回は、8番目のフレーズ ”Per regalare un momento di silenzio dentro e fuori”を見ていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。