文法のお話を交えながら、こちらのしおりに書かれていることを解読していきます。
今回は、4番目のフレーズ ”Perché chi lo riceve ricorderà per tutta la vita, te e il libro”
[ペるケ キ ロ りチェーヴェ りコるデラ ペる トゥッタ ラ ヴィータ テ エ イル リーブろ]
…を見ていきたいと思います。
◆Perchéは「なぜならば」という意味でした。
◆chiは「(~する)人は」という意味の関係代名詞です。
活用した動詞を使って名詞を修飾する場合、日本語では「~する人・もの」のように、活用した動詞を名詞に直接くっつけてその名詞を修飾することができますが、イタリア語では活用した動詞を名詞に直接くっつけることはできません。そこで、名詞の後ろに関係代名詞というものを置いてから、活用した動詞を使ってその名詞を修飾します。このとき修飾される名詞のことを先行詞といいます。
関係代名詞には大きく分けて3つの種類があります。
- 先行詞にあたる名詞が、先行詞を修飾する文の中に存在するとき、主語や直接目的語として機能している場合に使われる関係代名詞…cheなど
- 先行詞にあたる名詞が、先行詞を修飾する文の中に存在するとき、間接目的語・状況補語など前置詞を伴う名詞の場合に使われる関係代名詞…cuiなど
- 先行詞を含んだ関係代名詞…chi,quantoなど
chi lo riceveのchiは 3. に該当します。
◆loは ”un libro”を指す直接目的語代名詞で、「(ある一冊の)本を」という意味です。
◆riceveの不定詞は、 “ricevere”で、「受け取る」という意味の動詞です。ここでは主語が「本を受け取る人」ですので、三人称単数の時の形をしています。
ここまでの日本語訳を見てみましょう。
“Perché chi lo riceve…”
:なぜならば、(ある一冊の)本を受け取る人は…
フレーズの後半 ” ricorderà per tutta la vita, te e il libro” では、「本を受け取る人がどうするのか」が述べられています。それでは、見ていきましょう。
ricorderà per tutta la vita, te e il libro
◆ricorderàの不定詞は、 “ricordare”で、「覚えている」という意味の動詞です。ここでは主語は「本を受け取る人」ですので、三人称単数の時の形をしています。主語が三人称単数のとき、“ricordare”は直説法現在形では “ricorda”という形をとりますが、ここでは “ricorderà” となっています。それはここで用いられている時制が未来形だからです。
未来形は主に次の4つを表します。
- 発話時よりも未来のできごとや状態
(“Domani farà bel tempo.”「明日はいい天気でしょう」…今日では、未来のできごとについても直説法現在形で表す傾向があります。ほぼ確実な予定であれば直説法現在形を、不確実な予定(forse, probabilmente, magariなどのニュアンスを持たせたいとき)であれば未来形を使うとよいと思います。天気予報や星占いなどでは、「絶対にそう」とは言い切れないことから、未来形が使われることが多いです。)
- しようと意図していること、するつもりでいること
(“Ti amerò per sempre”「君を永遠に愛しています」…というときは、こちらの用法です。不確実な未来ではありませんので、ご安心を)
- 未来になされる行為を指示する命令
(“Dopo cena farai i compiti!”「夕食の後、宿題をしなさいよ!」…未来形で命令されたことがらは、未来に実行されます。)
- 現在(発話時)のことがらについての推測・疑問
(“Marco sarà a casa adesso?”「マルコは今、家にいるかな?」…現在の事柄ですが、未来形を使って推測を表しています。)
未来形の活用語尾は、
-rò, -rai, -rà, -remo, -rete, -ranno
となります。
“ricordare”を未来形に活用してみましょう。
語幹と語尾の接続部分が “ricorderò”のようになっていますね。未来形の活用では、このような例が多々ありますので、語尾の直前部分に注意して活用しましょう。
per tutta la vita,
◆前置詞perにはいろいろな意味がありますが、ここでは、期間を表す「…の間」という意味で使われています。
◆tutta la vitaは、「すべての人生」つまり、「一生涯」という意味です。
per tutta la vitaで、「一生涯中」という意味になります。
te e il libroは、ricorderàの直接目的語です。
◆teは ”tu”「君」が直接目的語のときの形で、「君を」という意味です。
◆eはここでは語(teとil libro)の並列を表しており、「…と」と訳すとよいと思います。
◆il libroは、「(贈られたその)本を」という意味です。
ricorderà te e il libroで、「君とその本を覚えているでしょう」という意味になります。
それでは全体を通して見てみましょう。
”Perché chi lo riceve ricorderà per tutta la vita, te e il libro”
:なぜならば本を贈られる人は、その本と君のことを一生覚えているだろうから。
次回は、5番目のフレーズ ”Perché in una pagina non c’è tutto quello che c’è tra la terra e il cielo ma abbastanza per non perdere la speranza”を見ていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。